──歴代プリマによって踊り継がれた
“永遠の愛の物語”。
さらなる進化をもって、6年ぶりに上演!
谷桃子バレエ団創立75周年という節目の年の幕開けにあたり、新春公演として『白鳥の湖』全4幕をお届けします。創設者・谷桃子の代表作の一つであり、私たちが幾世代にもわたって大切に踊り継いできたプロダクションです。
稀代のプリマ・バレリーナとして人気を誇っていた谷桃子が、自らの名を掲げたバレエ団を創設したのは1949年。『白鳥の湖』は、その後実に6年もの準備期間を経て実現した、谷桃子バレエ団初の古典全幕作品の上演でした。これは10カ月のフランス留学を終えた谷桃子の帰国記念公演でもあり、彼女の深みを増した演技と、熟慮を重ねてつくり上げられた舞台は大きな話題に。この成功を受けて、翌年には全国巡回公演を実施、谷桃子演じるオデット/オディールが一世を風靡するまでになったのです。
脈々と受け継がれる、谷桃子の感性
チャイコフスキー音楽、マリウス・プティパ、レフ・イワーノフ振付による古典の傑作『白鳥の湖』は、世界各地でさまざまな趣向の改訂版が上演されていますが、谷による『白鳥の湖』は、ロシアの流れを汲むスタンダードかつ丁寧な演出で古典バレエの魅力を伝え、多くの人々に愛されてきた作品です。ヒロインは、悪魔ロットバルトによって白鳥に姿を変えられ、夜の間だけ人間の姿に戻ることができるというオデット姫。ジークフリート王子は、夜の湖畔で彼女に出会い、ひと目で恋に落ちます。彼女を救えるのは“永遠の愛”のみ。しかし、結婚相手を決める舞踏会で、彼女とそっくりな美女オディールと出会うと、王子は彼女をオデットと間違え、永遠の愛を誓ってしまう──。
谷桃子バレエ団の歴代プリマたちは、谷の優れた感性によって築かれたその踊りの、独特のニュアンスを受け継ぎながら、それぞれの個性、美点を最大限に活かしたオデット/オディール像を造形してきました。現芸術監督の髙部尚子もその一人。6年ぶりの上演となる本公演で陣頭指揮をとる髙部は、あらためて師の教えを噛み締めながら、より深みある舞台を実現すべく、リハーサルを重ねています。