TMB DANCER’S SHOW CASE vol.1
スペシャルインタビュー ♯06

TMB DANCER’S SHOW CASE vol.1開催を記念して、 連続インタビュー企画を実施!
大好評企画の6回目となる今回は、ダンサー・振付家の児玉彩愛さんが登場。バレエ団として初の試みとなる今回の公演。振付家として参加する児玉さんに今回の公演への想いを伺いました。

このインタビューシリーズでは、舞台裏の裏話や振付家・アーティストの情熱に迫ります。
第7弾も近日公開予定! 楽しみにお待ちください。


多彩な経歴を持つ児玉さん。
その歩みに迫ります。


──児玉さんはダンサーとして、また振付家としてのお仕事もたくさんされていますね。

私が最初に習った踊りは、社交ダンスです。小学校2年生の時に始めました。そう、おじいちゃんおばあちゃんたちと一緒に、です(笑)。バレエも町の公民館のようなところで習っていましたが、本当に基礎の基礎をかじったくらいです。高校に上がる時に専門学校に進んで、ジャズやストリートなどいろんなジャンルも学び、ミュージカルの授業をとって、歌もやっていました。

──歌も! リハーサルで、歌いながら踊って、踊りながら歌って指導されている姿がすごく素敵でした。

声が大きいのは長所です(笑)。
22歳の時に上京して、ダンサーであり、振付家でもある、辻󠄀本知彦さんに出会い、私の人生が変わりました。辻󠄀本さんは踊り手としてはもちろん、本当に人間として尊敬している”師匠”です。師匠のもとでダンサーとして、また振付家としてたくさんの現場を経験し、学ばせていただいています。辻󠄀本さん自身が踊られる時はすごく“生きている”と感じます。そして振付は舞台の生粋の素晴らしいダンサーへの振付から、エンターテイメント溢れるアーティストのライブ、メディアを中心としたキャッチーな映像の振付も手がけられていて。どの世界にも違う良さがあり、”必要”な良さが違い、共通した素晴らしさもあります。そんな色々な要素を常に掛け合わせて、足し算引き算して作品を創られています。そして踊られています。私も師匠のように──。そう思い、日々精進しています!

畑違いの振付家とダンサー。
児玉さんの不安と挑戦。


──今回は、前原愛里佳と森脇崇行のそれぞれにソロ作品を振付けられています。バレエダンサーに振付をするにあたって、不安に思われていたことはありますか。

それはいまも常にあります。やはりバレエには絶対的な美しさ、素晴らしさがありますよね。その良さはしっかりと残したい。けれど髙部先生を筆頭として、新しいことに挑戦していこうという思いから今回の公演への挑戦が始まったと思うので、その”挑戦”の部分とのバランスがすごく難しいです。

純粋にバレエが好きで、バレエの公演をずっと観ているお客さまにとっては、もしかしたら、今回の私の作品は、選曲からして挑戦だなと思っています。

これが逆の立場だったら──もし、森脇くんと私が同じ瞬間にステージに立つことになったとしたら、私は彼と同じテクニックは使えない。それはやはり身体の使い方が違いすぎるのと、良さも違う。ジャンプを入れるとなったら、同じ身体の使い方ではなく、私は、いまの私が一番良く見えることのできるジャンプでいくだろうなと思ったりもします。

──お互い、持っているものが違うし、それを大切にしたいということですね。

だからこそ、私がバレエダンサーの二人に寄せすぎた振付をしてしまうのは違うと思うし、二人が私のほうに寄せて、絶対この振付の人の望むダンサーにならなければ!と思うのも違うと思っていて──。今回は、お互いがお互いの違いや良さを理解しながら、ディスカッションをして、面白いところを探っていくことがすごく必要だと思いました。それを二人とも、嫌がらずに、ワクワクして取り組んでくれているように感じます。すごく嬉しいですし、とてもありがたい出会いになったと思います。

──リハーサルを重ねる中で、バレエダンサーならではの反応がかえってきて戸惑うこともあるのではないでしょうか。

むしろ、そういうところをたくさん出していってほしいと考えています。二人とも、「いまの自分の価値観をそのまま出したらいつもと一緒になってしまう」とか、いろんな葛藤があると思いますが、戸惑いながらでも出してくれたものを、面白く発展させることが私ができれば、バレエを極めてきた二人ならではの作品になっていくと思いますし、”挑戦”とのバランスも取れてくるのではと思っています。

児玉さんが見る「森脇 崇行」と「前原 愛里佳」。
二人への期待と想い。


──二人のダンサーの魅力を教えてください。

森脇くんはバレエ団の若手のホープと伺って、「そんなホープの方の振付を私にさせていただけるのですか!?」と思ったのですが(笑)。彼はいろんな葛藤がありながら、いま東京という街で、こうしてバレエ団という組織に所属している。日々学んで、感じて、踊ることが嫌になる時もあるかもしれないけれど、やっぱり好きだ、というところにかえってきて、だからいま、ここにいる──という思いをすごく強く感じます。一歩一歩、歩んでいるのがわかる。そんなところに魅力を感じます。それで、YAMAさんの楽曲で踊ってもらうことにしました。

愛里佳さんについては、彼女自身、すごくまっすぐで素敵で、優しい雰囲気のあるダンサー。愛里佳さんに対しても、根本は森脇くんと同じような気持ちがあって、彼女にプレゼントしたい曲はなんだろう?と考えて、映画「竜とそばかすの姫」の劇中歌の「歌よ」を選びました。何かに導かれて歩んできた道があって、でももっと欲しいものもある。それは、踊りの中の表現だったり、生きている中のいろんな自分の立ち位置だったりするんだと思いますが、そんな中で、バレエに真摯に向き合って、自分と戦ったり、投げ出したい気持ちを抱えながら踊っていた瞬間ももちろんあっただろうし──と、勝手ながら感じたのです。そんな彼女が、ただただ祈る気持ちになったり、昔の葛藤を思い出したり、踊っている時の幸せな気持ちになれたり、何だかそんな表現ができる作品になればいいなと思って、いま一緒にリハーサルしています。

──二人にとって、これは難しい挑戦になりますか。

すごく難しいことをお願いしていると思っています。利き手と逆の手でお箸を持ってご飯を食べる感じでしょうか。いや、もっと難しいかな。とにかく、それくらい難しい。そして、ちょっと嫌な事だったりすると思うんです。

古典の作品だと、踊るうえで、役を演じるということの比重は絶対に大きいはずです。でも今回は、演じるものは“自分自身”。そういう作品を創りたいんです。私を含めて、二人ともまだ人生経験は少ないけれど、それでも自分としてその場に立って、お客さまに見ていただく。「めっちゃ大変!」だと思いますが、これは何よりも得難い喜びになると思います。私もそういう機会をいただいてきたので、二人にとっても、今回の作品がそんな時間になればいいなぁと思っています。

チケットはこちらから


男性オーディションの様子はこちら



ジャズダンサーに挑戦するバレエダンサー達



オーディション 女性ダンサー編



審査員の喝に緊張が走る
女性オーディション合格者発表!